君の手が奏でた夢
「音楽すればいいのに」
「勿体無いよ」
「そんな綺麗な声で」
「歌も上手いのに」
「褒めすぎだょ…」
頬が熱くなっているのが
すぐに分かった。
恥ずかしくて
彼の目も見れない私に
音羽クンはその綺麗な目を
まっすぐとぶつける。
「俺はその声すきだけど」
「そんな…」
何も言い返せなくて
何も考えられなくて
頭の中がぐらぐらした。
「まぁいいや」
「音楽始めたら教えてね!」
そんな風に言って
彼が席に戻ったとき
私の顔は多分
耳まで真っ赤だったと思う。
恥ずかしくて
恥ずかしくて
どきどき、どきどき
心音が体中に
響き渡って――。
呼吸さえ
上手く出来なかった。
これが私の
長い長い恋の始まり。