君の手が奏でた夢
2. tears
初めての会話の日から
音羽クンは何かと
私に構うようになった。
「どんな音楽がすき?」
「放課後って何してる?」
「ギター触ったことは?」
声を掛けられる度に
胸がどきどきして。
目が合うたびに
頬が赤くなって。
どき、どき、どき。
何かを知らせる
煩いアラームみたいに。
激しい鼓動音が
私の中で暴れてく。
ねぇ アラームは
何を知らせてたと思う?
あの鼓動音は
ちゃんとした合図だったんだ。
恋の始まる合図。
煩すぎる、ドラムロール。
いつからか
教室へ入る前に
手鏡で自分の事を
チェックするようになった。
だから
気付いてしまった。
(私、音羽クンの事…)
(好きなんだ)