君の手が奏でた夢
だけどやっぱり
「アイツ本当に冷たくて」
「ライブも見にこねーんだ」
音羽クンから
彼女の事を聞くときだけは
唇を噛むように
複雑な笑顔を作ってしまう。
彼が可愛い彼女の事を
「アイツ」って
そう呼ぶたびに
胸の中の秘密の想いが
暴れだしそうになる。
「雲雀はちゃんと来いよ?」
「ぁ…うん…」
覚悟したはずの
複雑な想いは
どんどん縺れ出して
私を苦しめるように
喉元に絡みつく。
そんな苦しい片思いが
終わるきっかけになったのは
彼に訪れた
ひとつの不幸だった。