君の手が奏でた夢
「も、もしもし…!」
震えそうな声と心を
押さえつけて電話に出る。
「…………」
携帯の先の彼は
何も言葉を発しない。
「音羽クン?どうしたの…?」
不安になってつい
携帯を強く握ってしまう。
「…雲雀…」
「会いたい…」
やっと聞こえたその声は
普段からは程遠い
とてもか細い声だった。
「会いたいって…」
「急にどうしたの?」
胸の中がずきんと鳴る。
音羽クンが弱ってる。
私に何かを求めてる。
何かあったんだ。
それだけが
はっきりと分かった。