君の手が奏でた夢
「ねぇ雲雀」
「会ってくれる?」
今度は少し
強い口調だった。
「う、うん…」
「行ってあげたいけど…」
「本当に?」
「面倒じゃないの?」
「俺に構うのなんか…」
「本当は面倒くさいだろ?」
「音羽クン…」
拗ねた子供のように
そう吐き捨てた彼の声が
携帯を押し当てた耳に
痛いほど響いた。
「どうしてそんな事…」
「すぐ行くから」
「そんな事言わないで」
心の中に隠してた想いは
完全に暴れだしていた。
あんな取り乱した声
いままで少しも――
少しも見せなかったのに。