君の手が奏でた夢
待ち合わせ場所の
駅前の歩道橋につくと
その中央で
彼は少し俯いて
鉄筋の柵に
力無くもたれていた。
「音羽クン…!」
振り返った表情には
泣き顔の面影があって
だけど彼は
私の顔を見つけると
いつもの優しい目で
力なく微笑んだ。
「本当に来てくれたんだ」
「ありがとう」
「一体どうしたの…?」
「何かあったんでしょ?」
よく見ると
音羽クンは制服を着ている。
傍らには
鞄も落ちている。
学校へは
行くつもりだったんだ。
休んだ理由は
ライブの練習じゃない。
息を飲んで
彼の目を見つめる。