君の手が奏でた夢
1. breath
恋をしたことが
一度もなかったわけじゃない。
それなのに私の心臓は
まるで初恋のように
苦しい鼓動を
抑えることが出来なかった。
雲雀 詩花。
ヒバリ ウタカ。
それが私の名前。
公立高校に通う高校2年生。
趣味は映画鑑賞。
特技は…特にない。
友達の数は平均的。
頭の良さも平均的。
どこにでもいる
普通の女子高生。
特徴なんてない。
その他大勢の部類。
学校は楽しいようで
時々退屈なようで
よく分からない。
通うのが普通だから
通ってる。
そんな人間だった。
彼に出会うまでは。