君の手が奏でた夢
「私は関係ないけど…」
「関係ないぶん」
「何話しても平気だよ?」
「………」
音羽クンは
しばらく押し黙っていた。
私はそのまま
彼の顔を見つめて
彼はやがて
観念したように息をつく。
「…お人よしバカ」
彼は目を反らして
私の事をそんな風に言う。
その表情からは
攻撃的な鋭さが消えていた。
「大声出して悪い」
「平気だよ」
音羽クンの隣の席に座って
彼を真っ直ぐ見つめる。
(そういえば…)
向かい合って座るの
初めてだなって思った。