君の手が奏でた夢
「音羽クンって…」
「ボーカルじゃないの?!」
「はぁー?」
呆れたような顔で
音羽クンが私の顔を見る。
「俺はベースだよ」
「そ、そうだったんだー」
「勘違いしてたぁ…」
思い違いに困惑していると
音羽クンは急に声を上げて
楽しそうに笑い出した。
「勉強不足だな」
「もっと予習してくださーい」
「う…ゴメンナサイ」
自分の思い込みには
正直に反省をしたけれど
私には音羽クンが
沢山笑ってくれたことが
とても嬉しくて
つい自分の失敗を
許してしまいそうだった。