君の手が奏でた夢
彼が出て行って
教室には私だけになった。
しんとした教室に
さっきの出来事が巡る。
音羽クンは――
恋をした事
その思い出が
苦しくて、淋しくて
忘れられないんだね。
昨日
私の胸で泣いていた君は
今日も
私の隣で笑えずにいた。
私はこんなに近くにいるのに
君に笑ってほしいのに
私じゃ君を救えないの?
悲しい自問が
胸の中を揺さぶる。
だけど
それでも
私は手を伸ばしたい。
君を救えるまで、ずっと。