―優等生乱用



やだよ。


怖いよ。



体が縮み込む。




これから秋がいない生活を考えたくない。



「新井さん…」


心配そうな顔を見せる大塚。



同情すんなよ。




「失恋しちゃった」


必死で笑顔をつくった。



「まっ、べつにいいんだけどね」


なるべく軽い口調で言う。



言うたびに胸が刃物でつつかれる。



「あー、つかれた」


机から飛び下りる。


そしてその場から去ろうとすると

後ろから抱き締められた。



「犯罪…」

私は呟いた。


「失恋した女を

慰めるのが男だろ」



言い訳のようにしか聞こえない。



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