忘却の勇者
するとオレオは、
「折角だし、お土産に持って帰ろう」
とんでもないことを思いついた。
アクセサリーにしようと考えているようだが、魔物の爪や牙といっても小さく弱い魔物から採取するものであって、こんな巨大でいかにも凶暴そうな魔物のやつなど絶対に使わない。
というか採取しない。できない。
黒刀を鞘から引き抜き、大きな爪に刃をあてがう。
刀から伝わる爪の感触。この程度なら切れそうだ。
採取するなら深い眠りについている今しかない。
オレオは鋸のように黒刀を引いた。
綺麗にスパッと一刀両断。切り口も鮮やか。
だがオレオは大事なことを見落としていた。
動物(魔物)の爪には、血管が通っていることを。