忘却の勇者
ふと隣に視線を移すと、シキの顔色が真っ青になっていた。
不思議に思って背後を確認すると―――
「うわー。めっちゃ怖ぇー!」
砂丘の天辺から明るく陽気に微笑みながら、謎の巨大魔物に追われているオレオの姿があった。
なぜ追われてる? というかなんで笑顔?
聞きたいことは山ほどあるが、とてもじゃないが後ろの魔物がそうさせてくれそうにはない。
「あ、コーズだ! やっと見つけた!」
手を振りこちらに駆け寄る少年。
もちろん魔物も一緒に着いてくる。
「馬鹿野郎! こっち来んじゃねーよ!」
コーズはシキを背中に担いで走りだした。
コーズの罵倒は届いているはずなのだが、オレオはちょっとアレなので理解できないようである。