忘却の勇者
閃光弾から強烈な光が飛び出す。
コーズ達はその場にしゃがんで目を瞑り、閃光をやり過ごすした。
白い世界が終わりを告げると、コーズは恐る恐る背後を振り向いた。
ベモスの瞳は閉じている。閃光弾が効いた証拠。
だがベモスは頭を左右に二・三回振ると、目が見えていないはずなのにオレオ達の方へ視線を合わせた。
チッ、鼻が効いてやがる。
ポーチから次の武器を取りだそうとすると、オレオが黒刀を手に取りベモスへ向かって行った。
「おいっ! いくらオレオでも無理だ!」
「大丈夫。僕が時間を稼ぐから、その内にシキさんを―――」
目の前から、オレオが消えた。
オレオが立っていた場所には、ベモスのド太い前足がある。
そう、踏みつぶされた。時間稼ぎ終了。