忘却の勇者

無理に攻撃さえしなければ、ベモスの攻撃を回避することはオレオにとっては造作もないことだ。


オレオはベモスの動きのみに意識を集中させる。


だがその考えは甘かった。


ベモスは大きく息を吸う。


すると、徐々に毒霧が薄れていくではないか。


毒霧はみるみるベモスの体内に吸収され、霧は完全に晴れてしまった。


「まじっすか?」


コーズは驚きのあまり、結界を解いてしまう。


自ら毒を取り入れたというのに、ベモスの動きが制限される様子は見られない。


それどころか、鼻息を荒くし興奮しきっている。


斬撃は効かない。毒も効かない。


こうなってしまっては、もう手の打ちようがない。

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