忘却の勇者

「一体どうしたら……」


コーズはポーチをまさぐるが、ベモスに対抗できるアイテムは見当たらない。


オレオも自前の知識を必死で掘り起こすが、良い知恵は思い浮かばない。


さらに絶望は続く。


ベモスが大きく口を開くと、口内に高エネルギーの塊が現れた。


魔力の塊でもあるそれは、一般人でも触れてはならぬものだとわかる。


「「口からビーム!?」」


二人の悲鳴にも似た驚きの声が見事にハモッた。


高エネルギー体は次第に大きくなり強い光を放つ。


今から全速力で逃げても間に合わない。


オレオをなんとか受け止めようと黒刀の刃を両手で支える構えをするが、受け止められるものではないと直感では理解していた。


コーズも再度結界を展開するが、付け焼刃の結界ではなんら効果は得られないだろう。


クソッ……!
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