忘却の勇者
稲妻によって焦げた皮膚と鱗が剥け落ち、新しいものに生まれ変わる。
「S扱契約獣か……」
ポツリと呟く。
改めて再生能力の高さを知ったサイは、新たな術を発動させる。
ベモスを取り囲むように宙に配置された魔法陣。
魔法陣が眩い光を放つと、紅蓮の剣が放出された。
全方位から放たれた剣は、軽々とベモスの身体を貫くと、傷口からまた血液が噴出する。
苦痛によってベモスの身体は崩れるが、すぐに体制を立て直した。
奴に普通の攻撃は通じない。それは先ほどの攻撃で分かりきっている。
これで終わりではない。
サイは指先に小さな炎を灯させると、ふっと息を吹きかける。
吐息に飛ばされた灯火は徐々に上昇。