忘却の勇者
「だ、大丈夫?」
声をかけて身体をひっくり返す。
仰向けの格好にさせると、少年の顔が目に飛び込んだ。
幼い顔つきだが所々は男っぽい、所謂かっこかわいい系。
可愛い男の子を嫌いな女子なんていりゃしない。
ついつい少年の整った顔つきに目を奪われた。
「女の子みたい……て、見とれてる場合じゃない!」
ハッと正気に戻り、頬をペチペチと叩いて意識を呼び覚ませさせる。
うーんと少年から小さい呻き声が漏れ、うっすらと瞼を開けた。
瞼の奥から現れたのは、黒ずくめの姿からは想像できない金色の瞳。
吸い込まれるようにその瞳を見つめるが、今はそんな時ではないと気づいて再び声をかけた。
「大丈夫? しっかりして!」