忘却の勇者
レベルとかじゃなくて、もはや次元が違う。
これじゃあどちらか化物かわかりゃしない。
「あれ? そういえばシキさんは?」
オレオの言葉にコーズは我に返った。
そういえばシキの姿が見当たらない。
まさか爆発に巻き込まれて……と最悪な想像をしたが、サイによってそれは否定された。
「シキ将軍は王宮の治療施設へそのまま転送した。さて、少し話をしよう」
サイは言う。
「勇者様」
風が吹く。ローブが靡くが、目深く被ったフードからはサイの表情を見て取ることは叶わない。
誤魔化す理由も嘘をつく理由もオレオにはない。寧ろ説明が省けて楽なはずだ。
オレオはその場に片膝をつき頭を垂れる。コーズもつられて同じ格好をとった。