忘却の勇者
「お会いできて光栄ですサイ賢者様。私の名はオレオ=カリバーン。勇者アーサー=カリバーンの実の甥でございます」
こういう所はしっかりしてるんだよなぁ。
後ろで同じ格好をしているコーズは、心の中で呟いた。
「面を上げよ。勇者の地位はこの国の支配者と同義だ。君は私と同位かまたは上の地位にいる存在。無闇に頭を垂れるでない」
「それは勇者の直系の血筋のみです。勇者の血が流れているとはいえ、私にはそのような特権はございません」
「勇者の血が絶たれたとされた今、君にはその特権を扱える権利がある」
なんだか難しい話をしている。
さっさと聞きたいことを聞いて早くこの場から立ち去りとコーズは思うが、この国のトップの御前の前であるため口に出さず沈黙を貫く。
ずっと同じ体制でいよいよ足が痺れてきのか、コーズはもじもじし始めた。我慢しろ大人なんだから
「まあ良い。して、私に話があるのだろう」
全てお見通し。流石賢者と呼ばれることはある。