忘却の勇者
「長い歴史の間で禁書のほとんどは消え去り世界各地に分散してしまったが、現在七つの禁書が確認され、禁書に記された魔術を『喪失魔術(ロストマジック)』と呼んでいる」
「え? 喪失魔術って……あれはただの神話で」
この神話を現実で起こった歴史を元に作られたものである。
魔王と魔物が暴れていたのは事実。でなければオレオが旅立つ理由はなかったはずだ。
だが聖剣や禁書は後から付け加えられたフィクション。
伝説の剣。伝説の魔法。
プレミアム感満載の、幻想的な素敵な響き。
これらは子供たちが楽しめるように付け加えた作り話だ。
それにもし聖剣が実在するのなら、勇者の血筋であるオレオがその事実を知らないはずなどない。
オレオはそのことを告げようとしたが、サイは言葉を被せてそれを遮った。
「あれは実際に起こったことだ。年月が経つにつれて神話などと呼ばれるようになったが、禁書は確かに実在する」