忘却の勇者
「魔王に対抗するには、聖剣もしくは喪失魔術を保持する必要がある。だが貴方の魔力では禁書の封を解くことすら不可能だ」
「ということは……」
「嗚呼、聖剣を手に入れるしか手はない」
禁書九十九冊のノウハウを生かし作られた、魔王殺しの聖なる刃物。
魔力が人並みしかないオレオには、聖剣を手にしなければ魔王と善戦することも叶わない。
オレオは立ち上がる。
一つだけ確認したいことがあった。
もしその話が本当ならば、オレオの伯父、勇者アーサーもその聖剣を使い魔王を封印したのかどうか。
オレオが口を開こうとすると、サイは右手を上げてそれを制した。
「ここから真っ直ぐ東に進み、岬を目指せ。そこに『東の賢者』がいるはずだ」
「東の賢者? その方も四聖官なのですか?」
「会えばわかる。そこに君の求めている答えもあるはずだ」