忘却の勇者

「うぅ……は……」


「は?」


「腹……へった……」


ガクッと崩れそうになった。


どうやらただ単にお腹がすいて倒れていたようである。


このまま店の前で放置しておくわけにもいかないので、マリは店の中へ少年を運んだ。






「ごちそうさまー! 満腹満腹!」


そりゃあアレだけ食べれば満腹にもなるだろう。


つい言葉が飛び出しそうだったが、寸前でマリは飲み込んだ。


テーブルには空になった皿の山。


綺麗に食べつくされ、ソース一滴も残っていない。

< 13 / 581 >

この作品をシェア

pagetop