忘却の勇者
「うぅ……は……」
「は?」
「腹……へった……」
ガクッと崩れそうになった。
どうやらただ単にお腹がすいて倒れていたようである。
このまま店の前で放置しておくわけにもいかないので、マリは店の中へ少年を運んだ。
「ごちそうさまー! 満腹満腹!」
そりゃあアレだけ食べれば満腹にもなるだろう。
つい言葉が飛び出しそうだったが、寸前でマリは飲み込んだ。
テーブルには空になった皿の山。
綺麗に食べつくされ、ソース一滴も残っていない。