忘却の勇者

「あーあ、これは傷害罪だぜお譲ちゃん」


ガラの悪い男が四人。少女の周りを取り囲んでいる。


倒れた男の仲間であろうか。手には魔具を装備し、少女に下種な笑みを送っている。


なんともお約束な展開である。


少女も大柄の男に囲まれては分が悪いのか、先ほどの威勢は感じられない。


さすがにこの人数では無理か。


コーズはポーチの中をまさぐり、ある物を掴んだ。


これでいっかな?


目当ての物を取り出す。それは指の間に収まった三本の鋭い針。


針にしては細長く約十五センチ弱。その先端は怪しい緑色の液体が塗られている。


手首を利かせて真っ直ぐその針を投げ飛ばすと、男達の首下にその先端が突き刺さった。


刺さった瞬間、男の身体はその場に崩れ落ちる。

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