忘却の勇者

残りの一人が倒れた仲間達に意識を持っていかれた隙に、コーズは俊敏な足を使って男の背後に回り、手刀で男の首筋を強く打ちつけた。


最後の一人も倒れる。コーズは首に刺さっている針を引き抜くと、先端をチリ紙で拭いポーチにしまう。


針に仕込んだのは身体を麻痺させる毒。


命を奪うほどの威力はないが、即効性があり一時間は身体の自由は奪われる。


「レディを口説くのに、四人がかりはないんじゃないか?」


男達に言い捨てる。


これ以上長居は無用。まだ仲間がいたら面倒なことになるのは必須。


コーズは少女の手を掴み、さっさとこの場から立ち去った。






「ありがとうございます」


近くにあった酒場に逃げ込んだコーズと少女。

< 137 / 581 >

この作品をシェア

pagetop