忘却の勇者
残りの一人が倒れた仲間達に意識を持っていかれた隙に、コーズは俊敏な足を使って男の背後に回り、手刀で男の首筋を強く打ちつけた。
最後の一人も倒れる。コーズは首に刺さっている針を引き抜くと、先端をチリ紙で拭いポーチにしまう。
針に仕込んだのは身体を麻痺させる毒。
命を奪うほどの威力はないが、即効性があり一時間は身体の自由は奪われる。
「レディを口説くのに、四人がかりはないんじゃないか?」
男達に言い捨てる。
これ以上長居は無用。まだ仲間がいたら面倒なことになるのは必須。
コーズは少女の手を掴み、さっさとこの場から立ち去った。
「ありがとうございます」
近くにあった酒場に逃げ込んだコーズと少女。