忘却の勇者
というか食いすぎである。おかげで冷蔵庫の中は空っぽだ。
店の主人も苦笑いを浮かべているしまつ。
主人に申し訳ないと、マリは心の中で謝罪した。
「ありがとうございます。もうちょっとで餓死寸前でした」
少年、オレオは頭を下げた。
食いっぷりとは裏腹に礼儀は弁えているようだ。
それにしても不思議な少年だ。
一人旅をしていると言っていたが、腰に備え付けられた得物は刀と呼ばれる和の国でしか作られていない代物。
一流の得物として高値で売買されているが、国外に出回ることはほとんどなく高値で取引されている。
歳を聞いたらマリと同じ十五と言った。とても十五の少年が手に入れられる物ではない。
さらにオレオが着ていたコートには、魔法石が編みこまれていた。
魔法石はその名の通り、魔力を持つ特殊な石である。