忘却の勇者
徐々に記憶が戻っていく。
確か、オレオが運んでくれたんだよな?
酔いつぶれた二人を両脇に抱え、オレオがここまで運んだ。
大人二人を脇に抱えて移動する少年様は、傍から見ればさぞ異形な光景であろう。
あとで謝ろうとコーズは決める。これでは保護者失格だ。
そういやオレオはどこにいった?
部屋を見ましてもオレオの姿をどこにもない。
もしかしたらマリの部屋に行っているのかも。
たまたま同じ宿に宿泊していたマリ。その部屋がなんとオレオの借りた部屋の隣だから驚きだ。
偶然もここまで重なると、運命なのかもしれない。
すると、コンコンと扉を叩く音がした。
こんな朝に誰だろう。コーズは扉を開ける。