忘却の勇者
「おはよう」
そこにいたのは清々しい笑顔のマリ。
コーズに負けず劣らずの酒豪っぷりを見せていたが、平気な顔をしている。
「はよ……お前は辛くねえの?」
「なにが?」
即答。どんだけ酒に強いんだこの娘は。
「いや、なんでもない。それよりオレオ来てなかった?」
「オレオ? 来てないけど、どうかしたの?」
「起きたらいなくてよ。どこ行っちまったんだか」
うーんと頭の後ろを掻く。
すぐにでも旅立つと言っていたオレオが、寄り道をするはずがない。
朝食で買いに行ったのだろう。そう納得して、コーズはマリを部屋に招き入れた。