忘却の勇者

魔法石には色々な属性があり、石に魔力を注ぎ込むとその属性にあった効力が発揮される。


主に魔法詠唱の補助として、魔具にも使用される高級品。


オレオのコートには炎と水の魔法石が裏生地に編みこまれており、これを着込むだけで暖房と冷房がコートの中で行われ、体温調整が自動的に出来る仕組みとなっている。


しかも丸洗い可能。主婦の味方だ。


だが一番の不思議は、なんといっても黒髪に金目という不釣合いな容姿だろう。


この国に黒髪を持つ人種をほとんどいない。極一部の少数民族ぐらいである。


マリはジーとオレオを見つめる。


オレオはその視線に気づいているのかいないのか、特に意に介した様子もなく食後のお茶をすすった。


「いやいや、山道を歩いてたら途中で迷っちゃって。食料も底をついちゃったけど、その辺の野性動物を狩ればなんとかなるだろうと高をくくっていたらこうなっちゃったんですよ。ははっ」


生き倒れた過程を説明。


陽気に語っているが、このご時世山の中で遭難など魔物の餌になりかねない。

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