忘却の勇者

四人の男。皆武器らしきものは手にしていない。


「……チャンス到来」


少年の呟きを理解する暇などなかった。


拘束されていた綱を無理やり引きちぎると、まず眼前にいる男に強烈な頭突きを喰わらせる。


まさかの反撃に他の男達の思考は一瞬停止する。


その影響からか、極僅かな隙が生じた。


もちろんオレオがそれを見過ごしわけがなく、すぐに立ち上がり間合いを詰めると男の鳩尾に鋭い一撃をお見舞いする。


蹲る男を踏み台にしてジャンプ。


身体を捻り、生まれた遠心力を利用して三人目の首筋に華麗な回し蹴りを披露。


男が仰向けに倒れると、男の腹をクッションにして着地。


その隙に男の腰のホルダーにぶら下がった短銃を引き抜くと、今まさに逃げようと背を向けている残りの一人に銃口を向けた。


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