忘却の勇者

そもそもオレオも朝帰りである。自分のことを棚に上げるな。


吃驚してしまったコーズだが、なにはともあれ無事にオレオが戻ってきたのだ。


ホッと胸を撫で下ろしたが、どうやらお隣の人物は色々と思うことがあるようだ。


ツカツカと無言でオレオに近づくと、いきなり脳天に鉄拳を突き落とした。


「イタッ! な、なに!?」


「なにじゃないわよ馬鹿! 私がどれだけ……」


コーズはニヤニヤしながら、言葉の続きを待ち構える。


きっと次にくるのは「どれだけ心配したと思ってるの?」であろう。


可愛らしいじゃないかと内心ほくそ笑む。


が、マリの言葉はコーズの予想を掠りもしなかった。


「そのマフィン私のよ!」


「そっちかよ!?」
< 177 / 581 >

この作品をシェア

pagetop