忘却の勇者
そもそもオレオも朝帰りである。自分のことを棚に上げるな。
吃驚してしまったコーズだが、なにはともあれ無事にオレオが戻ってきたのだ。
ホッと胸を撫で下ろしたが、どうやらお隣の人物は色々と思うことがあるようだ。
ツカツカと無言でオレオに近づくと、いきなり脳天に鉄拳を突き落とした。
「イタッ! な、なに!?」
「なにじゃないわよ馬鹿! 私がどれだけ……」
コーズはニヤニヤしながら、言葉の続きを待ち構える。
きっと次にくるのは「どれだけ心配したと思ってるの?」であろう。
可愛らしいじゃないかと内心ほくそ笑む。
が、マリの言葉はコーズの予想を掠りもしなかった。
「そのマフィン私のよ!」
「そっちかよ!?」