忘却の勇者
どうやって誤魔化そうか?
真っ向から「違う」などと言っても、嘘誤魔化しの類は彼女には通用しないであろうことは直感ではあるが感じ取れる。
さーて、困ったぞ。
「実は……オレオはとある王国の王子で、俺は王子を守る護衛として」
「はいはい面白いわねカッコイイー」
余談だが、コーズは嘘をつくのが下手だ。
「初めて会った時からなんとなくわかってたわ。オレオが普通の人間じゃないことぐらい。まあ、今回のことで核心に変わったんだけどね」
どう足掻いても、この状況を引っ繰り返すのは無理のようだ。
「本当は俺が王子で、オレオが俺を守る護衛で」
「一発ぶん殴っていい?」
「ごめんなさい。本当のこと言います」
だから無駄である。