忘却の勇者

本人がいない間に、オレオの秘密を曝け出すのは気が引けたが、これ以上嘘を重ねては身の危険がせまるので、渋々コーズは真相を語った。


オレオの旅の目的と、なぜ自分が一緒に付いて来ているのか。


事細かにわかりやすく、マリに伝える。


アルコールが手伝ってか、長舌に振舞うコーズであるが、マリはそれを聞き流していた。


そう、聞き流していたのだ。


マリにとって道中に起きた出来事などどうでもいい些細なこと。


大事なことは、オレオが勇者であり魔王を倒す旅に出ているという二点のみ。


ゴンッとグラスを強めにテーブルに置くと、コーズの話が途切れた。


その隙を見計らって、マリは口を開く。


「私もその旅に連れてって」


微笑を浮かべながら告げた言葉の意味を理解するのに、ほろ酔い気分のコーズは少々時間を費やした。


連れてって? それってつまり、
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