忘却の勇者
「マリも魔王退治に?」
「ええ」
「え、でも、マリは人探しの旅を」
「もちろんそれもあるけど、本当の目的は違うの」
人は誰しも、秘密の一つや二つは抱えている。
もしそれが麗しい女性であればあるほど、秘密の量も質も比例していく。
無論それは、目の前にいる彼女も例外ではない。
彼女もまた、内なる秘密を抱え込み生きている。
果たしてそれはオレオの旅路を明るく照らすものなのか、はたまた暗い闇夜に染め上げるものなのか。
その事実を知ることになるのは、まだもう少し先のお話―――