忘却の勇者

東の賢者

アデイの町を発ち一週間。


魔物の遭遇は多々あったが、道中それといったハプニングもなく無事に目的地である岬へと到着した。


最東に位置するここは、岩肌が露出した所謂崖。


人が住んでいるわけもなく、地図から見るにここからもっと近くの人里まで馬の足を使っても一時間はかかる。


岬の最先端部には海を照らす灯台が立てられており、すぐ下には灯台守用の小さな小屋が置かれていた。


とはいえこの国の灯台は全て、魔法石によるオート操作になっている。


詳しい技術や設定はわからないが、十何年前から無人での操作が可能になっている灯台に灯台守は必要ない。


イコール、小さな小屋も必要ないはずである。


小さいながらしっかりとした造りになっている小屋。


遠目ではあるが、廃れた様子は見当たらない。


ということは、あの小屋に人が住んでいるということになる。