忘却の勇者
つまりあそこに、東の賢者がいる。
「あそこに東の賢者っつーのがいるのか……胸が熱くなるな」
小屋に向かう勇者一向。
コーズは砂漠で出会ったサイ賢者のことを思い出す。
賢者というのは、トップクラスの魔術師に与えられる最高の名誉であり称号である。
四聖官を含め、現在この国に賢者の称号を与えられている魔術師はたったの七名。
七名しかいないのであれば新たか予想は出来ると思うだろうが、賢者に関する情報は王国が国家機密に指定しており、外に漏れることはほとんどない。
寧ろ表舞台に立つ機会がある四聖官よりも、残りの三人の賢者に関する情報の方が極端に少ないのが現状だ。
だがしかし、いずれにせよ化物に違いはない。
自然と零れる苦笑い。オレオもあの時の光景を思い出し、軽く身ぶるいをした。
「良い人だといいな」
「そうだね……」