忘却の勇者
なんのことか何もしらないマリは、二人の可笑しな言動に首を傾げるしかなかった。
そんなこんなで小屋の真ん前にご到着。
オレオは生唾を飲み込んで、木製のドアを叩こうと手を伸ばす。
すると、手が触れる寸前にドアがあちら側から開けられた。
隙間から覗いたのは、オレオよりも背丈が低い短髪の少年。
オレオと同じ漆黒の髪を持っているが、瞳は透き通るような蒼。
否、氷蒼と呼んだ方が相応しい。
突如現れた珍客に、少年は眉間を寄せて怪訝な顔つき。
この子が孫か。
小屋の住人を冷静に分析したオレオは、腰を屈めて少年の目線に合わせた。
「ここに“東の賢者”と呼ばれる人が住んでるよね?」
オレオの問いに少年は黙ったまま。