忘却の勇者
「……とりあえず、どいてやってくれないか」
コーズが少年に退くよう指示をする。
すると少年は目を細め、鋭い眼光をコーズに送った。
「黙れ嘔吐物」
ん? あれ?
なんかキャラ違くない?
凍りつく空間。少年の毒舌がこの雰囲気を作り出す。
「勇者様の下僕が僕に指示を出すな、虫図が走る」
もうなにがなんだかわからない。
オレオに抱きついた可愛らしい少年の姿はもうそこにはない。
コーズに向けられる視線は、まるで汚物でも見るような。
とにかく冷徹な視線なのである。