忘却の勇者

五年前に魔物に襲われている所を勇者の一族に助けられた。


つまり当時レインはまだ五才かそこら。物心がついたあたりの本当に幼い子供である。


なのに彼は「同じ魔力を感じた」と言った。


五年前の勇者の魔力と、オレオの魔力を比較しているのである。


つまり、まだ幼い少年が魔力感知を行い、月日が経った今でも覚えているということが異常なのだ。


何者なのこの子?


レインという少年の本当の恐ろしさを、まだオレオとコーズは理解していない。


「へっ。なにが『あの時の勇者様と同じ魔力を感じました~』だ。だったら勇者の仲間である俺達のことも敬えってんだ」


「黙れ。18禁の顔面をこちらに向けるな。僕の健全な成長が妨げられるじゃないか。どうしてお前みたいな常時モザイク加工必須生物が勇者様の下僕になっているのだ? 僕にはそれが不思議でならない。盾か? 人間防御壁か? それとも非常食? いずれにせよこんな嘔吐物では心もとないな。土にでも還れ!」


……ある意味本当の恐ろしさを現在進行形で理解している最中かもしれない。


口が悪いなんてもんじゃない。
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