忘却の勇者
大雑把ではあるが聖剣の在り処を知り、その経緯も詳しく熟知している。
四聖官の時にそのような情報を得たのだろうか。
先代勇者が魔王を倒したのは十年前。
その三カ月後に、アモス賢者は四聖官を引退した。
時期的には十分一致している。
そのような裏話を知っていも不思議ではないはずなのだが。
オレオは直感的になにかを感じ取っていた。
勇者の第六感がそう感じさせるのか、それはオレオ自身にもわからない。
ただアモスの心の闇を、敏感に感じ取れたのは事実であった。
「……ともかく、聖剣を扱うことが出来るのは今や勇者の血を引く君だけじゃ。亡き先代に代わり、魔王を倒す覚悟はあるか?」
「もちろんです。そのために僕は旅を続けているのですから」
「そうか、相分かった。儂も賢者として、微力ながらそなた達の助けとなろう。レイン」