忘却の勇者
少年は車椅子を引くと、方向転換をし背を向ける。
「ついて来てください」というレインの言葉に従って、三人は腰を上げ後を追う。
どんどん奥に進み、最終的に裏口から外へ出た。
後ろには小屋。右隣には大きな灯台。
そして眼前に広がるのは、断崖絶壁の崖から除く美しい青海。
潮風が髪を揺らし、磯の香りが鼻孔をくすぐる。
崖のギリギリまで車椅子を進めると、アモスはちょいちょいと指を下に向けて崖の下を覗くようジェスチャーをした。
オレオ達はなんの疑いも持たずに、崖っぷちへと足を進める。
そこにあったのは丈夫な綱で作られ、崖の下へと垂れさがるハシゴ。
そしてハシゴの先にあった物は、
「船?」
小さいながらも立派な帆船であった。