忘却の勇者
自然とテンションは上がっていく。
「私も初めて。だけど操作はどうするんですか?」
「心配無用だ。儂がすでに魔力を注いでおいたから、乗れば自動的に運んでくれる」
「さっすが賢者様! 早速乗り込も……」
ゲシッ。
なにやら不穏な擬音語が辺りに響く。
コーズは恐る恐る足元に視線を向けると、網膜が映しだしたのは岩肌の母なる大地などではなく。
海色の全ての生命の源。
要するに、彼の足は地についていないということだ。
なぜこんな所にいるのか?
それは簡単。だって犯人はすぐ後ろにいる。
「嘔吐物如きがハシゴを使うな。綱が腐敗する」