忘却の勇者
魔物の討伐に魔法は非常に力強いサポート。
女の子を危険な目に合わせたくないオレオと主人だったが、マリのアドバンテージと有無を言わせぬ怒りのオーラでしぶしぶ付いていくことを承諾したのだ。
街を出て、かれこれ一時間以上は経っている。
何度かこの森に来たことがあるマリが先導し、オレオが後に続いていた。
「それにしても不気味な森だね。空気中から魔力が感じ取れるけど、これって例の魔法樹が関係してるの?」
「うん。普通の植物は光合成をするとグルコースなどの炭水化物が作られるけど、魔法樹は炭水化物と共に魔力も作られるんだって。どういったメカニズムかはまだ解明されてないけど、体内で蓄積された魔力が呼吸の際に一緒に放出されるらしいの」
「そうなんだ。だから野生の動物たちはこの森で暮らすことができないんだね」
強力な魔力は、時として毒にもなりうる。
特に魔力に敏感な動物達には、微量な魔力でも不快感を得るのだろう。
代わりに魔力を持った動物。つまり魔物達にとってここは、パラダイスみたいなものだ。
それで血豹なる魔物が現れたのだ。