忘却の勇者
この森が静寂な理由はこの二つ。
一人納得するオレオだが、マリには新たな疑問が生まれていた。
確かにこの大気には魔力が含まれている。
だがそれは動物たちが感じ取れる程度の微妙な物。
普通の人間ではまず感じ取ることが出来ず、一流の魔術師でようやく感知できるくらいだ。
マリは歩きながらこっそり、意識をオレオに集中する。
こう見えて、マリも補助系魔法のエキスパート。
国家資格は持っていないが、その実力は一流の魔術師と肩を並べるものである。
魔力探知などお手の物。対象をオレオに絞り、彼の魔力を探る。
大気の魔力を感じ取れたのだ。恐らくかなりの実力者に違いない。
力量を探るのに、数分もかからなかった。
「……嘘」