忘却の勇者

思わず口に出てしまった。


オレオからには人並み程度の魔力しか感じられなかった。


魔具の補助を使って、ようやく魔法を放つことが出来るレベル。


おかしい。絶対おかしい。


この小さい少年には秘密がある。いや、ない方がおかしい。


「ところで、血豹ってどんな姿をしてるんですか?」


「え? 嗚呼、えーとね。私も直接見たわけじゃないんだけど、見た目は普通の豹だけど身体が赤黒いんだって。それで血豹って呼ばれてるって店長は言ってたわ」


「赤黒いかぁ、それってあの木の枝にいる猫科の動物みたいな色?」


「そうそう、猫科の動物っぽいやつで―――」


オレオが指差す方向へ視線を向ける。


……いた。


太い木の枝に身体を寝かせている、猫科の豹っぽい動物。

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