忘却の勇者
魔術師のレベルを図るために行われるものなのだが、今回の試験は通常の試験とは一線を画するものである。
言うなれば、賢者候補の品定め。
魔術師に与えられる最高の称号は『賢者』であるが、その一つ下に『聖者』と呼ばれる称号がある。
今回はその聖者承認試験の最終審査。
最終審査には必ず四聖官が一人立ち会うことになっており、古くから続く習慣で最年少の四聖官が立ち会うことになっている。
しばらくはサイがこの仕事を引き続けることになるだろう。
そして最終審査の内容と結果を決めるのも、四聖官の仕事だ。
試験内容はその時々によって四聖官が独自に取り決める。
会場の第三礼拝堂まで歩みながら、サイの頭の中は試験内容のことで思案を巡らしていた。
最終審査まで残った面子はサイには知られていない。
どのような試験を出すのかは、その時の状況によってほぼアドリブで決めていた。