忘却の勇者
身知らぬ帆船から出た三人を、漁港にいた人々は白い眼差しを送っている。
やっかいなことになる前にさっさと逃げ出したかったが、船をこのままにするわけにはいかない。
船の停泊許可を取り付けなければならないので、漁港の責任者と話をつけなければならない。
さてどうやって交渉をしようか?
おそらく数カ月は停泊することになるだろう。
何カ月分もの船舶料を払えるだけの金はない。
とすると魔具を交渉材料にするしかないだろう。
ネシオル王国の魔具は、国外なら国内の何倍もの値段で取引される。
俺とマリの魔具を元手にするしかないか……。
うーんと頭を悩ませるコーズだが、どうやらその心配は必要なそうだ。
桟橋の入り口に立つ集団。
二十名程度の集団は、一人を除き皆同じ白い服装をキッチリと着込み、肩には丈があるライフルを背負っている。