忘却の勇者

義賊としての経験が、こういった交渉の場に活用される。


伊達に何度も死線を越えてきたわけじゃない。


まずはお互い様子見。


相手からは少しでも多くの情報を手に入れ、自分達の情報開示は極力抑える。


コーズの交渉術が発揮される状況だ。


「そういえば、まだ名を名乗っていなかったね。僕は『鉄血の十三騎士』のケイ。この国の軍事最高司令官だ」


十三騎士? 軍事最高司令官?


小首を傾げるオレオとコーズ。


わけがわからないという表情をしている二人だが、マリだけはケイという青年の言葉の意味を理解していた。


二人にだけ聞こえる声量で耳打ちする。


(オレオ! 早く自分が勇者だってバラしちゃいなさい!)


(え、なんで?)
< 250 / 581 >

この作品をシェア

pagetop