忘却の勇者
(知らないの!? 鉄血の十三騎士ってアモール帝国の精鋭部隊よ!)
(精鋭部隊? 用は軍人だろ。そんなの見りゃわかるって)
(そうじゃないの! 鉄血の十三騎士は四聖官に対抗するために作られた、アモール帝国の最高戦力なのよ!)
マリの説明だけでは全てを把握することは出来なかったが、四聖官と最高戦力という単語で、目の前の青年がとんでもなく凄い人物ということだけは理解した。
ということは、こいつかなり強いのか?
柔和で人の良さそうな見た目からは想像できないが、人は見た目で判断するものではない。その良い例がすぐ隣にいる。
「内緒話も済んだかな? 次は君達が名を名乗る番だよ」
下手に誤魔化しても良い方向へは行かないだろう。
コーズはオレオに目配せ、小さく頷いて見せる。
それを合図に、オレオは自分の正体をケイと名乗る青年に伝えた。
「僕の名前はオレオ=カリバーン。勇者の血を引く最後の人間です」