忘却の勇者
途端、小さい笑い声が巻き起こった。
男たちは皆一様に口元に手を当てて、必死に笑い声を抑えている。
「勇者がチビなわけない」だとか「もっとマシな嘘をつくんだな」等々、誰もオレオが勇者の血筋だとは信じていない。
まあそうなるだろうなぁ……。と、コーズとマリは内心思った。
だってどう見たって、こんなチビ助が勇者だとは思わないだろう。
やっぱり見た目というのは大事だ。
だが、
「黒髪に金の瞳か……なるほど」
ケイだけは真剣な面持ちでオレオを見つめていた。
青い瞳はエメラルドグリーンの光を放っている。
ふっと微笑むと、光は消え元の青い瞳に戻っていた。
「例え勇者であろうと無かろうと、君達が不審人物であることに変わりない。不法入国及びスパイ容疑で身柄は確保。容疑が晴れたらネシオル王国に強制送還させてもらう。いいね」